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TN挿絵日記ライターJin Tonicの備忘録です。

新聞小説挿絵模写日記

ノーザンランナーズ 第1話前編 野中啓介

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この新聞小説がスタートしたのが2026年4月23日で、全20話のオムニバスの挿絵日記。
第1話前編が4/23で、後編が5/22だけど、タラタラしてたら7月になっちまった。
TNRの片面1話で前、後編のおいら的TN挿絵日記のスタイルはどうするべ。
まあ、第1話前編の主人公・野中啓介お話のあらすじなんぞ。

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北海道マラソン経験者なら、「スタートラインに立つまでが第一のレース」という言葉に思わずうなずくかも。『ノーザンランナーズ』第1話前編は、まさにその“スタート前あるある”をこれでもかと詰め込んだ作品みたい。

舞台は8月最後の日曜日の大通公園。朝8時半だというのに気温はすでに26度。氷で冷やしたペットボトルを首に当て、「今日は暑くなるぞ」と覚悟を決める主人公・野中啓介の姿は、北海道マラソンに出たことがある人なら「そうそう!」と思わず笑ってしまう場面です。上空を飛ぶ報道ヘリ、約2万人のランナーがひしめくスタートブロック、そして独特の熱気。あの空気を知る人には、まるで自分が再びスタート地点へ戻ったような感覚になるでしょう。

特に共感したのが、スタート直前の心理描写です。「今さらストレッチしても速くはならない」と頭では分かっているのに、手首や足首をぶるぶる動かしてしまう。周囲のランナーがみんな自分より速そうに見え、「組み分けを間違えたんじゃないか」と不安になる。これぞ市民ランナーの平常運転(笑)。経験者ほど、「あれ、作者は私を見ていたのでは?」と疑いたくなるリアリティがあります。

そして物語は24時間前へ。旭川の自宅で妻・百合と生後半年の息子に見送られる場面は、とても温かい雰囲気に包まれています。上下ジャージにキャップ、リュックという「どう見ても大会へ向かうランナー」スタイルを夫婦で笑い合うやり取りも微笑ましく、ランナー夫婦ならではの空気感が絶妙です。

百合も元ランナーで、むしろ夫より速い実力者。しかし出産後のブランクで今回は応援役となり、啓介だけが北海道マラソンへ挑戦します。「気にしなくていい」と背中を押してくれる妻への感謝と、少しの後ろめたさ。その複雑な気持ちが、レースを単なるスポーツイベントではなく、家族の物語としても深みを与えています。

個人的に思わず吹き出したのは、「お土産何がいい?」という問いに、「あとでLINEするね」と返されるシーン。ランナーなら交通費、宿泊費、参加費で財布が軽くなっているタイミング。「俺のおこづかいで足りるかな」という心の声には、多くのお父さんランナーが深く共感するのではないでしょうか。

札幌到着後のゼッケン受け取りも、実際の大会経験者には懐かしい風景です。「当日渡してくれたら旭川から日帰りできるのに」とぼやきながらも、何万人もの参加者を笑顔で迎えるスタッフの姿を見て「これは前日受付しかないよな」と納得する流れも実に自然。北海道マラソンを支えるボランティアのありがたさまで、さりげなく描かれています。

前編はまだ一歩を踏み出したばかり。それでも、スタートラインまでに積み重ねてきた練習の日々、家族の応援、大会スタッフの支え、そしてランナーだけが知る緊張と高揚感がぎゅっと詰まっています。タイムを競うだけではない、北海道マラソンという一日を丸ごと楽しむ作品になりそうで、後編では啓介が札幌の街をどんな思いで駆け抜けるのか、今から楽しみです。北海道マラソンファンなら、レース前夜に読むと「今年も走りたい!」という気持ちがきっと湧いてくる一編でした。


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ノーザンランナーズ スタート!





今日の道新に関連記事が載っていたんだけど、知らんかった。
新聞小説の愛好家を自称するおいらにとって痛恨のドジを踏んじまった。
スタートしたのが2026年4月23日で、しかもマンスリーなのでまだ追いつける。
おいらが関心を持ち、気になる挿絵のイラストも素晴らしい。
全20話でオムニバスで主人公が変わるらしいが、楽しみだね。


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新聞小説『きずもの』の挿絵模写を終えて

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2025年4月26日から2026年5月16日まで道新に連載された『きずもの』
この新聞小説の挿絵を担当した佐伯ゆう子氏のイラストを373回模写した。
著者はこの挿絵イラストに賛辞を述べている。
小説内の登場人物を愛してしまう、、、か、その気持ちがわからんでもない。

〜小説内の登場人物を絵にすることには、相当の勇気が必要だと思う。ビジュアルの持つ力は絶大、読者にとって登場人物が「その人」になる瞬間を担っているからだ。でも、佐伯さんはいつも、そんなハードルをやすやすと越えてきてくれた。貢と猛の造形には唸(うな)ったし、遙と万千花の表情には喝采を送った。
彼女は、登場人物たちを愛してくれていた。〜

モチーフは何であれ自分で創出した擬人化した者を愛する、、、か。
そのようなものが、おいらも出来たら、これからの人生は楽しいかも。
10年前に水彩色鉛筆画に心奪われ、60代は試行錯誤でTN挿絵の世界にやって来た。
来年は70代、AIの画材化で何か新たな挿絵の世界が展望出来そうな感じの今日この頃。


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挿絵日記 朝刊小説 きずもの 369〜373 完

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貢の死からしばらくたっても、頼子の周囲には不思議な静けさが流れていた。世間は激しく騒ぎ続けているのに、頼子自身は、どこか遠い場所からその喧騒を眺めているようだった。

貢は生前、スマートフォンを片時も離さず、会ったこともない誰かの苦しみに心を乱し、SNSの言葉に傷つき、振り回されていた。世界中の悲劇を自分事のように抱え込みながら、同時に「変わり続ける自分」にも苦しんでいた。そんな貢を見つめながら、頼子は、自分とはずいぶん違う人だと思っていた。頼子もまた世界の不幸に胸を痛めていたが、特定の誰かだけに感情を集中させることはなかった。幼い頃から寄付を続け、遠い国の飢えにも戦争にも等距離で向き合ってきた。しかし今の時代、人は悲劇との距離を自在に調整しなければ生きていけない。近づきすぎれば壊れ、離れすぎれば無関心になる。頼子は、そんな世界の変化を静かに感じ取っていた。

一方で善恵もまた、「搾取する側」であることへの罪悪感に苦しみ続けていた。雷人とヒビキを雇っていた店を閉めたのも、その感情から逃れたかったからだ。しかし店を畳んだあと、彼女はむしろ穏やかになり、子ども食堂の運営に関わることで生き生きし始める。人を思いやるには、まず自分の生活が安定していなければならない――頼子はその現実を理解していた。だからこそ、貢の過去の過ちさえも、「人間だから間違う」と受け入れていたのかもしれない。本心からだったのか、それとも平穏な生活を守りたかっただけなのか、自分でもわからないままに。

頼子は相変わらずインターネットから距離を置いていた。ニュースは新聞やテレビで十分だったし、貢の名前を検索する気にもなれない。しかし雷人とヒビキは違った。ネットの中に生きる二人は、頼子に代わって“松川貢界隈”を調べ尽くしていく。そこでは頼子は「かわいそうな妻」として同情され、貢は死後、まるで英雄のように語られていた。かつての罪は忘れられ、人々は彼の死を美しい物語へと変えていく。善恵はそんな世間に腹を立てたが、頼子はどこか冷静だった。時代は簡単に価値観を変え、熱狂し、また別の方向へ変わっていく。頼子の母が言った「時代なんて信頼できないよ。変わるってことは、また変わるんだから」という言葉が、その軽やかな不確かさを象徴していた。

そんなある日、貢と共に逮捕された女性から手紙が届く。長い文章の最後にあったのは、結局「ごめんなさい」という気持ちだった。頼子はその手紙を嫌だとは思わなかった。むしろ丸い文字や率直な言葉に親しみを覚え、返事を書こうと決める。

物語の最後は、猫のエドに薬を飲ませる静かな場面で締めくくられる。暴れるエドに引っかかれ、頼子の指から血が滲む。痛みと熱を感じながら、頼子はその血の味に、生きている実感を覚える。人は変わり続け、傷つき続け、それでも暮らしは続いていく。SNSの喧騒や時代の価値観とは無関係に、静かな生活の中で刻まれる小さな痛みこそが、この物語の本当の温度だったのかもしれない。


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挿絵日記 朝刊小説 きずもの 361〜368

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カナダでの生活を終え、日本へ戻ってきた万千花と遙。二人は浜辺で、キキやゾーイ、ケイティーと無言のまま激しく体をぶつけ合う。言葉では届かない感情を、痛みと疲労の中で確かめ合った末に、万千花と遙は同時に「帰ろう」と口にした。その瞬間、長く続いた漂流のような時間が終わったのだと感じさせる場面だった。

帰国後、万千花はカナダで蓄えた資金を元手に、遙と新しい事業を始める決意をする。英語力を武器にしながらも、誰かに使われる人生ではなく、自分たち自身の場所を作ろうとしていた。二人が思い描くのは、単なる宿泊施設ではない。安価な宿を軸に、音楽や芸術、政治や社会運動まで、人と文化が交差する拠点だ。「ここから何か変化が始まる場所にしたい」という万千花の言葉には、これまで生きづらさを抱えてきた者たちの願いが滲む。かつて依存的だった二人の関係も少しずつ変わり始め、遙も「自分のために変わってもええ」と口にする。

一方で物語は、頼子という女性の内面へと深く潜っていく。老いた猫エド、犬のトーキョー、リクガメのトカイとの暮らしの中で、亡き夫・貢を静かに思い出す頼子。作家だった貢は繊細で、不安と優しさを抱えながら生きた人物だった。頼子は幼い頃から「何を考えているか分からない」と言われ続け、周囲から“おかしい子”として扱われてきた。しかし彼女の家族は違った。養子で構成されたその家族は、「私たちはチームだ」という価値観のもと、多様な愛情と自由を自然に受け入れていた。

成長するにつれ、社会は頼子の「おかしさ」を拒絶ではなく、“天然”や“不思議ちゃん”として消費するようになる。彼女はその変化に戸惑いながらも、人の評価が時代や外見によって簡単に変わることを冷静に見つめていた。また頼子には、脳内で突然「パンパカパーン」という音が鳴り、自分が少し生まれ変わるような感覚があった。その不思議な感覚を理解したくて本を読み、山へ登り、自然の変化に魅了されていく。御嶽山で滑落した経験すら、彼女にとっては「自分という存在」を確かめる静かな体験として刻まれていた。

さらに、頼子は夫・貢の変化も回想する。若き日の彼は社会への怒りを抱えた“反体制側”の作家だったが、時代が進み、SNSや震災を経る中で、世界中の悲劇や差別に敏感になっていく。加害性への自覚に苦しみ、戦争や虐待の映像に心を消耗させ、それでも平穏な日常へ戻ってしまう自分に罪悪感を抱えていた。頼子はそんな彼を少し距離を置きながらも見つめ続ける。

361〜368回では、「変わること」と「変わらず残るもの」が大きなテーマとして描かれた。帰る場所を選び直す万千花たちと、人生の中で幾度も“生まれ変わってきた”頼子。傷や記憶、人との関係は変化しながらも消えず、人はその揺らぎの中で、自分自身を探し続けている。


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