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万千花は体調不良のまま飲食店での仕事を続け、若い同僚ミツキの「優しさ」と、店長や周囲の無理解の狭間で耐え抜こうとする。永住権取得のため「責任感ある人間」と評価されたい思いから無理を重ね、嘔吐を繰り返しながら終業まで働き切るが、帰宅途中で倒れてしまう。夜道で目覚めた万千花は頭を強く打ったことに気づきつつも、「大丈夫」と自分に言い聞かせ帰宅を試みる。道中で飼い猫ミッテに出会い、かつての仲間や人生観に思いを巡らせるが、家に着いても力尽き玄関で気絶する。遙を呼ぶ声は届かず、弱った姿を見せたくない思いと孤独が重なる。

一方の遙は、バンクーバーでの生活を「人生の休暇」と位置づけ、日本へ帰る意志を保っている。街の明るさや健康的な暮らしに救われつつも、かつて鬱に苦しんだ記憶を忘れていない。そんな中、万千花が自分の過去や失敗をキキやゾーイに語り、「日本は遅れている」「日本社会の被害者だ」と誇張して見せたことに強い怒りを覚える。自分の物語を他人に売り、在留理由の正当化に使った万千花を「ルール違反」と感じ、制裁を加える決意で部屋を飛び出す。

しかし廊下で遙が目にしたのは、すでに衰弱しきった万千花の姿だった。万千花は高熱と嘔吐で意識がもうろうとしながらも、仕事に行こうとする。救急車を拒み、医療費を気にする姿に遙は戸惑いと怒りを覚えつつ、ベッドへ運び、氷で冷やし、体温を測ると39度を超えていた。夜には40度近くまで上がり、遙は911に電話するがつながらず、結局Uberで救急外来へ向かうことになる。陽気に話しかけてくる運転手の無神経さに、遙は現実の過酷さを痛感する。二人の間にある怒りと依存、友情と歪みは、万千花の重い病状によって一時的に押し流され、遙は命の危機に直面した友を前に、感情よりも行動を選ばざるを得なくなる。


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