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遙と万千花は、バンクーバーのキツラノという美しいエリアでルームシェアを始める。高層建築が少なく、大きな家が並ぶ緑豊かな環境に惹かれつつ、破格の家賃で住めることになった二人は幸運を実感する。語学学校に通う遙は、ホームステイ経験のある同年代の留学生たちに羨ましがられるが、幼馴染と一緒に暮らせる自分を誇らしく思う。

再会は4年ぶりだった。かつて派手なメイクや流行の服を好んでいた万千花は、今や環境に配慮した質素な暮らしを実践しており、遙はその変化に戸惑う。万千花はペットボトルや使い捨てカップを避け、生ごみや日用品を徹底的に環境負荷の少ない形で処理していた。かつては濃いメイクを武器にしていた彼女が、今は素顔に近い姿で過ごすことも驚きだった。

一方で遙は、相変わらず派手な色やきらめきを好み、「オーガニック」や「サステナブル」といった価値観に馴染めない。しかし万千花だけは昔から自分を真正面から受け止めてくれる存在であり、その変化を見て少し寂しさを感じつつも、彼女の言うとおりに行動すれば安心できる自分を再確認する。

異国で共に暮らす中で、万千花は遙との思い出をふとした瞬間に思い出す。小学生の頃の無邪気な遊びや、若い頃のやんちゃな日々。その記憶は突然フラッシュバックのように蘇り、彼女を立ち止まらせることもあった。世界が大きく変わる中で自分も変化したが、遙は昔と同じ姿のまま現れた。そのギャップに驚きつつも、やはり彼女は唯一無二の存在なのだと実感する。

万千花自身も、この地に至るまで幾多の試練を経験していた。ホームステイから始まり、コロナ禍での不自由な生活、安いシェアハウスでの軋轢、飲食業での掛け持ち労働…。転居を繰り返す中で、ようやく出会ったのがキツラノの家だった。大きな窓から光が入り、ベランダにはデッキチェアと小さなテーブル。花屋を営む心優しいギリシャ人夫婦がオーナーで、彼女はその住まいに一目惚れした。

そして今、そこで遙と再び暮らし始めた。二人の過去と現在が重なり合い、揺れながらも、確かに前へと歩み出していた。


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