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町田猛は長女・乃愛の冷たい視線に悩んでいた。思春期の反抗以上の距離を感じ、その原因が自分の人間性にあると察しながらも理由は分からない。乃愛は繊細で、幼馴染の作家・貢を尊敬し彼の本を読み込むほどだった。ある晩、猛がからかうと、乃愛は鋭い感想を語り家族を驚かせる。その内容を貢に送ると称賛が返り、乃愛は上機嫌になるが、やがてまた冷たさを増していく。猛は彼女の地雷を避けられず、父としての立ち位置に怯え続ける。

次女・聖愛は乃愛の影響で早熟になり、父を「キモい」と距離を置く。三女の美愛も母に甘えながら真似し、末娘・心愛も自分中心で父を味方しない。家族の中で孤立感を深めた猛は、腰痛で夜眠れず、家の裏でこっそり煙草を吸いながら過去を思い返す。消防士だった頃の仲間との時間、公舎での暮らし、義父母の援助で今の家に移った経緯。あの頃の誇りを失った自分は、バットも夢も手放し、眠れぬ夜に追い詰められていく。

ある雨の夜、「燃やせば終わる」と一瞬よぎり、自宅に火を放ちかけたことさえあった。眠れぬ痛みの中、魔法の杖のようだったバットも今は冷たい棒でしかなく、孤独を深める。

一方、貢もまた金城叶の写真展で出会った木下遙との関係を続けながら、新人作家・望月まもるに些細な接触をセクハラと糾弾され動揺していた。猛も乃愛から同様の指摘を受け、性別や世代の断絶に戸惑う。遙にだけは「眠れない」と打ち明けられる貢は、その単純な返答「しんどいっすね」に救われ、頼子には言えない弱さを吐露する。望月のSNSを見続けながら、貢は自身の変化と孤独に向き合っていた。


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